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「錠剤嚥下障害」の呼称を改め、「内服薬嚥下障害」へ

  • 2025.11.07

 既に一定の認知を得ていた「錠剤嚥下障害」ではありますが、2025年10月17日より包括的な「内服薬嚥下障害」へ改称しました。今後、「錠剤嚥下障害」が「内服薬嚥下障害」に上書きされ、その概念が広く普及・定着することを期待しています。

改称の理由 

 2023年から薬が飲み込みにくい状況を「錠剤嚥下障害(カプセル、顆粒等を含む)」と称して普及を図ってきましたが、常に“カプセル、顆粒等を含む”の但し書きを要すること、またバリウムカプセルを用いた臨床研究に錠剤嚥下障害を含むタイトルをつけて論文投稿したところ、「カプセルの服用なのに錠剤嚥下障害という表現は不適切」との査読コメントがありました。剤形を名称に含めると錠剤嚥下障害、カプセル嚥下障害など剤形ごとの飲み込み障害になり、薬の嚥下障害を表す総称ではなくなってしまう可能性があります。これらの理由から思い切って「内服薬嚥下障害」に改称することにしました。

「内服薬嚥下障害」とは

 錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの内服薬の嚥下が困難となる状態を言う。これは、薬を口に取り込み、飲み込み、胃まで送り込むという一連の過程のいずれかに障害が生じている状態を指す。

 食物は咀嚼によってペースト状の均一な食塊となったものを嚥下するが、内服薬は薬と水を同時に嚥下する。すなわち、固形物(薬)と液体(水)という物性の異なるものを同時に処理する必要がある。食物で錠剤のような固形物と液体を同時に嚥下することはほとんどないため、服薬は食事よりも嚥下の難易度が高く、より高度な嚥下機能を要する。

 摂食嚥下障害については、30年以上前から医師、歯科医師、言語聴覚士など多くの医療職が、それぞれの専門的立場から研究・実践を重ねてきた。しかし、薬に関する嚥下障害については、これまでその概念や用語すら存在していなかった。そこで、薬の嚥下障害を明確に表す言葉として「内服薬嚥下障害(Pill Dysphagia)」と定義する(2025年10月)。